掌編小説/2021年5月20日/ 笹塚心琴 水曜日の午後、喫茶白鳩にて しとしとと雨の降る夕まぐれには、決まって彼のことを思い出す。彼はこういう日にこの喫茶店に来ると、いちばん窓際の席に座って、ずっと外を見ていた。雨だれがガラスに打ちつけるのを寂しげに、しかしどこか楽しそうに眺めていた。 彼 […] 続きを読む