俳句

posted on 2020.6.13.

梅雨

雨音のスタッカートに踊る恋 ソーダ水躊躇が喉を下りてゆく 濡れそぼり仰ぎ見る天のモノクロ 蜘蛛の巣も宝石になれ垂れ滴 雨傘をくるりくるりとゆるむ頬 葉の裏のカタツムリこそド根性 長電話すっかり雨もやんでおり ふくよかな母 […]
posted on 2020.6.7.

目を閉じてそれでも灯る蛍火よ 子のいのち託した蛍去ってゆく 雨傘の柄に重なったふたりの手 紫陽花にスマホを向ける老いた父 結ばれず自由を知った夏の蝶 クーラーのリモコン権が火種とは よく冷えた瓶に頬寄せ笑う子よ 扇風機若 […]
posted on 2020.5.14.

わたしの初夏

【行事】 後悔も思い出であるこどもの日 背伸びした柱の疵に父笑う 母の日に贈る笑顔の花束よ 【時事】 距離を取ることもあるまい蛇苺 自粛してひとりでに舞うドーナツ盤 麻マスク手垢の意味を問い直す 【恋】 水玉の覚悟を決め […]
posted on 2020.4.11.

小包をほどく笑顔に春が来る 書きかけの恋文にひとひらの花 思い出の隅に映えるよチューリップ 少年の道しるべたれ春北斗 帰りみち綿毛を吹けば歌になる 日めくりとともに顔出す葉桜よ シクラメン三連符まで連れてくる 四月馬鹿い […]
posted on 2020.3.6.

花吹雪すべて忘れてしまおうか 叶わない恋ならいっそ蝶となれ 草の芽とともに天指す無垢な指 花として歩いてゆけと祖母のふみ いさかいも花の下ではほどかれる たんぽぽをたんぷぷという子がひかり ぜんまいの苦さが旨さになる破瓜 […]
posted on 2020.2.23.

鷺の巣に手を伸ばしたらそよぐ声 春雷よ私の恋をごまかすな 東風を知り戻れぬ日々にただ涙 放課後の口笛とける春の闇 厳しさは優しさだった春一番 芽吹きとは前を向くための道標 寄り添うとすぐにほころぶ梅ときみ 遠い自由に憧れ […]
posted on 2020.2.6.

ぷっくりとふくれる頬と梅つぼみ 梅の香が考えごとをさえぎる夜 生き急ぐこともあるまい花の兄 目覚ましに梅干しひとつ受験生 手のひらに梅の花びら母わらう ペンネームの由来にした春便り からころと楽しい梅の花の散る 冬の梅こ […]
posted on 2019.12.22.

クリスマス

ろうそくを吹き消してまだ残る影 児の期待踏みしめておけサンタさん クリスマス百点満点として笑む ハズレなし優しい夜を引き当てた 雪を待つ人に届いてほしい歌 鈴の音が幻でもなお嬉しくて 微笑みもオーナメントだ木々揺れる お […]
posted on 2019.10.27.

やせがまん モンブランまで敵とする  口笛を聞いてくれるよ秋の雨  もうドアを閉じてしまうね吾亦紅  突き詰めて結ぶりんどうの紫  お願いよ海猫帰るまでここに  さよなら […]
posted on 2019.10.17.

味覚

寝過ごして出会う高尾の山紅葉 台風はため息までも奪ったか 生秋刀魚 次会う時が百年目 銀杏が隣で爆ぜて緩む頬 焼き鳥が旨いお店の名が花鶏 秋桜と生き急ぐのを競いあう 冬支度 母となれない虚しさと
posted on 2019.9.28.

石榴

口つけて炭酸水と航海す  石榴より私を噛んで今すぐに  梔子も噂話が好きみたい  校庭を朧月夜に睨んでた  このままで終われるものか山あざみ
posted on 2019.9.27.

いじわるだ くしゃみの数を指で折る  約束はしない孤雁の過ぎる影  愛もまた檻に化けるか青蜜柑  声がするほうを向いたら居待ち月  蜻蛉の儚い夢が永遠か
posted on 2019.9.26.

うずくまる影に隠れる彼岸花  ときめきは割れた栗たち破顔する  秋薔薇も僕も笑っていいですか  かりがねを見送るだけの独り道  デートには死者に梔子の香水
posted on 2019.9.26.

カラス

しわくちゃの笑顔に結ぶななかまど 誰もみな孤独であるとカラス鳴く 蜘蛛の糸 夫婦の意味を問いかける ラグビーのルールを知らず酌み交わす 命日は忌念日らしい彼岸花
posted on 2019.9.26.

枯葉

しっかりと暑さを惜しむ棒アイス 古本の隅に見つけた私の名 肉筆がむかしむかしのひとの癖 オルゴール僕を彼岸に導けよ プラタナス並木に落とす影ふたつ