1 阿佐ヶ谷の次は荻窪 正しさはレールの上の幻想として 2 生き方のハウツー本を手に取って泣けてきたなら間違ってない 3 今踏んだ蟻にも命があったことちゃんと忘れて生きてゆきます 4 線路から飛び立った鳩 間に合った鳩 […]
投稿者: 笹塚心琴
水曜日の午後、喫茶白鳩にて
しとしとと雨の降る夕まぐれには、決まって彼のことを思い出す。彼はこういう日にこの喫茶店に来ると、いちばん窓際の席に座って、ずっと外を見ていた。雨だれがガラスに打ちつけるのを寂しげに、しかしどこか楽しそうに眺めていた。 彼 […]
心優しい獣だけが識る
柔らかな裏切りを 生唇で受け止めて 虚しくなるだけで 上等だって笑えよ 風はまた吹くだろうか 遠ざかる記憶を手繰る 獣に堕ちたあなたの眼 もう一度くださいって 失うごとに欲しがって どこにもきっかけなど 落ちていないとい […]
ソーダ水
1 土曜日は海を見に行く大丈夫大丈夫って波が鳴くから 2 好きなひとのいちばん嫌なところまで好きになるってありなんですか 3 更新が止まったサイトで何年も明滅をする「新着!」の文字 4 ソーダ水に指を埋めれば(そんなこと […]
白鴉
彼が神を自称しはじめてからも、私たちの生活になにか大きな変化が起きたわけではない。 彼は相変わらず寝坊するし、派手に忘れ物をするし、よく椅子の端にかばんの紐を引っかける。 自称とはいえ神なら予言のひとつもしてみたらどうか […]
事件
1 あなたではない人だから遊園地なんて爆発すればいいのに 2 私さえ気にしなければこの式はとても素敵だ(あああ気になる) 3 落とし穴を作る人は悲しいね誰かが落ちるのが成果だもんな 4 他人事は他人事だけど対岸で火事がお […]
あれ
1 罪のない嘘をついても嘘は嘘昨日の自分はいつもかわいい 2 メロン入りメロンパンってありますか?何か不都合がありますか? 3 現代に介錯人がいるのならあの子の部屋に届けてあげて 4 長文のLINEに既読がつかないそろそ […]
静脈
1 ハミングをしても針に糸を通してもまだ永遠を編めないでいる 2 電車とは走る棺かもしれない 祈りを添えて朝が生まれる 3 眼球にきみが映ると寂しくて瞬きするの忘れてしまう 4 選択をしなかったほうの道にだけ咲く花がある […]
街
1 細胞が分裂をするときの音に耳を澄ませて生きております 2 やめてって言えば言うほどお願いが叶うんだって知ってた?(やめて) 3 東京に特許許可局はないことを悲愴なこととして伝える土鳩 4 人びとはすでに桜を忘れたかス […]
春
落涙よ花の色まで連れ去って 桜こそ刹那を示す道しるべ しゃぼん玉割れてこそ世の儚さよ なにもかも巡るさだめか花風よ 陽炎がときめき立って犬吠える