羊が凍る

生息域の考察は私に諦観を与え

大勢の前で偉人だった「彼」は

今や晒す恥や罪悪を探している

滴る筈の血は羊ごと凍り

私に妥協を教えてくれた

「彼」は時を見計らって

吐き捨てる科白を磨いて

銀の月に仕立て上げては

番号を与えて朽ちてゆく

泣きながらシーツを汚して

そこに咲いた花を知らない

泣きながらスープをすすり

やがて笑いだした事もない

幸せとはそういうことだろ

あなたはあなたでいられますか

あなたのままで生きられますか

それは教科書に載っていますか

だとしたらそれが正しさですか

誰のせいにしたらいいのですか

それとももうおいとましますか

生息域の探索は甘ったるい菓子

私にラム酒の絶望を浸み込ませ

晴れの舞台の上でライトを浴び

主人公だったはずの「彼」こそ

誰よりも早い終幕を望んでいる

はてどの辺りで生きられましょう

欠陥ではなく個性だと言い張れる

健全者の偶像が燃やされるときを

幻と仲良くして待っているのが私

火をつけるのは「彼」の使命だが

あんまり興味がないらしくて困る

生息域の喪失は優しい風となり

私にマイナーコードをぶつける

この世界で「彼」は手本として

次の新世界などを夢に見ながら

女神像を強かに舐めつけている

ざんざん月光が降ってきたら

好きなだけ浴びさせてほしい

私の愚かさは流行らない玩具

安価で譲らせてくれお願いだ

改造してくれたって構わない

そうすれば私も消えられるし

「彼」の気も済むことだろう

生息域がそろそろ終わる

誰かが嬉しそうに揺れる

私は沈黙の一択を迫られ

そうしてやがて笑うのだ

凍った羊みたいに無垢に

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