pinta(糸電話のひみつ)

せっかく神様と糸電話してあなたの秘密を聞き出そうと思ったのに、耳に入ってくるのは痙攣しながら諧謔を弄する言葉ばかり。

たかが孤独です、糸電話で繋がったところで埋められるものではないし、そもそも孤独を癒してほしいなんて誰が頼んだんでしょう。

あなたにも誕生日があるんだね。生まれたとき、太陽と月が喧嘩していたって、どこまで本気で傾聴すべきかを迷っていたけれど、たぶんBGMとして聞き流すのが正解だったんだ。優しさって、そういうことだからさ。

中央線ってクリスマスの翌日みたいだよね、どこにもきらめきなんてなかったように或いは光中毒になった葬列のごとく沈黙して、揃いも揃ってブルーライトを浴びてるじゃない、おかしくなるなってリクエストのほうが無理があるよ。

別に寂しくなんてないんだけれど、例えば私がこの糸電話で楽しげにおしゃべりに興じたり新しい詩歌の呻吟を唱えようものなら、「マナーを守れ!」なんて怒鳴られる、ならまだいいけれど、サイレントでシャッターを切られまくって「こいつ迷惑w」とかなんとか適当なコメントとともにSNSに晒されちゃうんだもんな。このつまらなさ、26日0時以降に一斉撤去が開始されるサンタ・ツリー・オーナメントの皆さんならおわかりいただけるでしょう。

あなたがたも私も、なかったことにされるんですね。倉庫の奥でハロウィンのカボチャ達が待ってるよ、嬉しそうに手招きしてる、その横で口からぼたぼたチョコレートを垂らしているのが少女だった私で、

「私、もうなんにもいらないの!」

ってセリフをずっと練習してる。あなたは何もかもわかっていながら全てを放置して、容赦なくエンターキーを押下しました。孤独撲滅プログラムの起動していくその様を、誰もがスマホの画面から目を離さずに中央線が月面方面へ突っ込んでいくのを、クリスマス関連のあれこれが撤去されて「新春」「来福」「賀正」といった文字達が暴れ出すのを、私は神様と糸電話しながら眺めていた。だって楽しかったから。

立川駅あたりで、ふつとあなたの悲鳴がドア上のデジタルサイネージに流されました。

もちろん、見て見ぬふりをしました。

神様は何も教えてくれなかったの。だから、あなたの神経でできていた糸電話、力任せに引き千切っちゃった。ごめんね。

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