すぐ読める、サクッと読める、でもなにか、なにかが胸に残れば嬉しい、そんな作品たちです。
posted on 2019.10.1.
序章 神保町
いやに暖かい風の吹いた日、芽吹きかけた衝動を噛み殺しながら、彼は神保町を歩いていた。古本屋とカレーとサブカルチャーの香り漂うこの街に、彼は自分を遺棄する場所を探していたのだ。 その両目には諦観とひと匙の狂気のなり損ない。 […]
posted on 2019.10.1.
第一話 檸檬
金曜の夜の新宿を、傘もささずに歩く彼は、数多のネオンを睨み返しながら歩いている。その後ろを、訥々とした足取りで私はついていくのだ。 新宿駅を出てはじめて、雨が強まってきたことを知った。濡れながら歩くのは少ししんどい。 「 […]
posted on 2019.10.1.
第二話 キャラメルフラペチーノ
金曜日の新宿で待ち合わせた。なんでまた、こんなやかましい街に? その問いに彼は、 「スタバに行こう」 と返してきた。 街を見上げればあちらこちらで微笑んでいる、人魚のロゴマーク。 「どのスタバ? この街、スタバだらけだよ […]